ネットワークの安全を確保する為に個人や企業で広く使われているVPN。VPNとは何を指しているのでしょうか?
VPNとは、正式にはVirtual Private Networkという名称で、その名称の頭文字を取ってVPNと呼ばれています。
- Virtual→バーチャル、仮想の
- Private Network→専用の回線
「仮想専用回線」直訳するとこのような意味になります。
VPNが開発される前は主に専用回線(物理ケーブル)が企業間などで利用されてきました。専用回線は安全ですが、物理的なケーブルを設置もしくはレンタルする為にコストが大幅に嵩みます。
ここで注目されたのがインターネットです。世界中で普及しているインターネットが使えばコストはほとんどかかりません。
しかしインターネットはパブリックネットワーク(公共のネットワーク)と呼ばれているように、多くのデータが行き交い、盗聴や改ざんと言った危険に絶えずさらされています。
これらの危険を防ぐ為に、データ送信者と受信者の間に仮想の専用回線を作ってデータを保護する技術が開発されました。
これがインターネット上で専用回線を作るテクノロジー=VPNになります。
どのような目的で使われるの?
2000年初め頃より主に企業間で使用されて来たVPN。現在では商業化されており、企業だけなく個人でも簡単に利用出来るようになっており、その用途はデータ保護だけでなく多岐にわたっています。
VPNの特徴から個人利用では主に4つの目的で使われています。
- インターネット上の現在地を変更する
- 通信のセキュリティを高める
- インターネット検閲を避ける
- オンラインゲーム
1. インターネット上の現在地を変更
VPNを使うと「IPアドレス」と「現在地」が接続先のIPアドレスと現在地に置き換わります。その為VPNサーバー所在地=現在地と訪問先に判断されます。その為に海外にいながらも日本限定コンテンツの視聴や閲覧が可能になります。
例えば、Hulu, AbemaTV, Netflixなどは日本限定でコンテンツを配信しており日本以外の地域からは視聴出来ません。VPNを使う事で日本からアクセスしていると動画配信サイトに判断させる事が可能になります。
どこからアクセスしているかを隠せるという特徴から、匿名性を高める事が出来ます。訪問先は実際にはどこからアクセスしているのか知ることが出来ません。
IPアドレスとは?
ここで使われているIPアドレスは「グローバルIPアドレス」で、名前の通りインターネット上の住所のような数字と言えます。全ての端末がインターネットにアクセスする為に割り当てられています。このIPアドレスで詳細な現在地を特定する事が可能です。
2. 通信のセキュリティを高める
VPNを使うと通信が暗号化され、第三者からの盗み見・改ざんを阻止する事が出来ます。例えば、カフェやホテルなどの公共Wi-Fiスポットなどでは不特定多数の利用者が混在しており、通信データを盗み見・改ざんされたりする恐れがあります。仮想通貨の流通に伴い、ビットコイン等の暗号通貨や、オンライン決済などを多様する場合はVPNの使用は必須と言えます。
また私達が普段使用しているインターネットプロバイダーも私達のアクセスデータを記録しており第三者に転売もしくは親会社がそれらのデータを利用しています。
VPNを使う事によりプライバシーを保護し、安全に通信する事が出来ます。
3. インターネット検閲を避ける
中国はもとより、ロシアや中東地域の国家、韓国もインターネット検閲を行っており、一部のサイトもしくは国外のサイトへのアクセスを禁止しています。
インターネット検閲は主にインターネットプロバイダーなどと協力し、通信内容をフィルタリングする事で実現しています。VPNを使う事によって通信内容を分析されずに国外のインターネットへアクセス可能になります。
4. オンラインゲーム
ここ最近ではオンラインゲームでVPNを使用する人が増えています。
VPNを使用する事によって、次のケースは通信速度やPingと呼ばれる遅延が改善される可能性があります。
- インターネットプロバイダーの速度制限
- 遅延(Ping)が高い
インターネットプロバイダーによっては混雑時に通信内容をフィルターして速度制限をかけています。VPNは通信内容が暗号化されており、フィルタリングによって中身を見る事は出来ません。このような理由で速度制限を避ける事が出来ます。
Pingの高さは主に使用者のいる場所からゲームサーバーまでのルートで決定されます。VPNサーバーを使う事で最短のルートでゲームサーバーへ接続する事が可能になります。とりわけ海外サーバーへ、もしくは国外から日本サーバーへアクセスする場合は大幅な改善が期待されます。
VPNはどのように機能しているか?
VPNを使う場合には、ユーザー側(接続元)とVPNサーバー側(接続先)に専用のソフトウェアが必要になります。これらのソフトウェアは広く普及しているWindows, macOSなどはデフォルトでシステムに組み込まれています。
具体的にどのようにVPN=仮想専用回線が確立されるのでしょうか?
トンネリング
この仮想の専用回線を確立する全体の仕組みは「トンネリング」と呼ばれています。
通信の流れを見てみましょう。
VPNソフトウェアはパケットを相手に送る際に、内容を解読出来ないようにパケットを「暗号化」します。その暗号化したデータを別の外部パケットで包んでから相手に送ります。
この元データを別のパケットで包む技術を「カプセル化(カプセレーション)」と言います。
外部カプセルには宛先が書かれており、指定のサーバーへ届くようになっています。受け取ったサーバー側がカプセル化を解除して、暗号化されている情報を解読します。
このカプセル化と暗号化によって、外部からパケットを見る事が出来なくなります。またパケットを第三者に盗まれたとしても暗号化しているので解読される事もありません。
この流れが2方向で絶え間なく行われる事によって、インターネット上に外部から見えない仮想のトンネルが作り出されています。
パケットとは?
私達が送受信しているデータは通信の際に細かく分けられて送受信されており、この細かいデータは「パケット」と呼ばれています。
認証
データの改ざんやなりすましを防ぐ為に「認証」という技術も同時に用いられています。
仮想回線は送受信者がお互い正しい相手だと認識する事で生成されます。このお互いを確かめる技術は「認証」と呼ばれています。VPNでは主に2つの認証が行われてます。
- 送受信がお互い本物であるか確かめる認証
- パケットが改ざんされていないかを確かめるパケット認証
これらの「認証」により送信者を装った偽データの受信を防ぐ事が出来ます。
認証を含む仮想専用回線を作る過程は「プロトコル」という決められたルールに沿って行われます。VPNで使われているプロトコルについてはこちらを参照して下さい。
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VPNプロトコルの比較と特徴 - PPTP, L2TP, SSTP, IKEv2, OpenVPN, Wireguard
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リモートアクセスサーバー
VPNサーバーはリモートアクセスサーバーとも呼ばれており、ユーザーの代理(プロキシ)として機能します。言わばリモートで別のパソコンを動かしているイメージです。
訪問先(ウェブサイトや動画サイト)はVPNサーバーのIPアドレスと所在地のみを見る事になり、ユーザーの本来の所在地は隠され匿名になります。そのような理由で日本限定コンテンツの視聴が可能になったり、アクセス元が特定されないようプライバシーを保護する事が出来ます。
まとめ
VPNとは?一言で表現するとその名前の通り「インターネット上に作られた専用回線」と言えるでしょう。
現在VPNの用途は会社や個人利用、海外やセキュリティの為など様々な用途に使われています。近年ではゲームを目的としてVPNを利用する人も増えています。
広がっていくニーズに合わせて世界中で様々なVPNプロバイダーがサービスを展開しておりそれぞれ良し悪しが存在します。当サイトでは管理人が実際に使用しておすすめ出来るVPNプロバイダーを紹介しています。
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