Netflix、Amazonプライム、DAZNやHuluを始めとする動画ストリーミングサイトは版権に関する協定から契約している国毎にサービスを展開もしくは調整して提供しています。またスカパー、TVer、AbemaTV(一部チャンネルは限られた国から視聴可能)等は日本リージョン限定でサービスを提供しています。
違法アクセスや版権の問題、海外からリモートサーバー経由で動画配信サイトへアクセスされている事を懸念して、2014年にHuluがVPNからのアクセスブロックを試みました。それに続き2017年にはNetflixがVPNからのアクセスを制限する旨を公表しました。
実際に2017年の初め頃より以前はVPNを使って鑑賞可能だった各種サービスが見れなくなっています。日本ではDAZN, Hulu, Paraviなどが厳しく制限を行っています。
VPNを使ってもなんで見れないの?
その理由は動画配信サイトが独自に特定のIPアドレスからのアクセスをブロックしているからです。
IPアドレスとは?
度々登場する「IPアドレス」を簡単に例えると、電話番号に置き換えて想像する事が出来ます。
電話番号は国番号(日本であれば+81)により区分けされ、それぞれの所有者に番号が割り当てられています。IPアドレスも電話番号のように数字の集合体で、それぞれの国や地域、所有者に割り当てられています。
VPNを例にすると、各サーバーにIPアドレスが割り当てられていて、私達はそのIPアドレスを使って様々なサイトやサービスへアクセスしています。
言わばIPアドレス=電話番号を借りて他の人へ電話をかけるようなイメージです。
このIPアドレスはICANNという組織が管理しており、それぞれ地域毎に管理を委託してIPアドレスを管理しています。
どんな方法でブロックしているの?
IPアドレスが国別に分けられているという管理方法を利用して、特定の国・地域のIPアドレスからのアクセスのみを許可するような設定を行っています。
日本限定のサービスであれば日本のIPアドレスからのアクセスのみを許可する設定にしています。
一部のサービスやサイトはこのように国別のアクセス許可のみを設定している為にVPNを使えばアクセスが可能です。
しかし、Netflix、AmazonプライムやHulu等の動画配信サイトは国別のアクセス設定に加え、ブラックリスト方式とホワイトリスト方式を使ってVPNからのアクセスをブロックしています。
ブラックリスト方式
ブラックリストはその名の通り特定のIPをブラックリストに登録して接続を拒否するという方法です。電話番号の例えで言えば、かかってきた電話をブロックするという設定に該当します。
どのような理由でブラックリストに入れられているのでしょうか?主に3つの方法を使用しているようです。
- 大手VPNプロバイダーが利用しているサーバーのIPを調べてブラックリストへ
- 膨大な数のアカウントからのアクセスがあったIPアドレスをブロック
- IDC, レンタルサーバー等商業用のIPアドレスをブラックリストへ
ホワイトリスト方式
上記のブラックリストと逆の方法で、特定のIPからのアクセスのみを許可すると言った方法です。
Netflixは厳格にIPブロックをしていないのでアクセス出来るVPNプロバイダーが少なからずありますが、特定の動画配信サイトはホワイトリスト+ブラックリストの2つを組み合わせた方法でアクセスをブロックしています。
詳しく説明すると、日本地域のIPアドレスはJPNIC(ICANNからの認定委託組織)から各インターネットサービスプロバイダー、もしくはインターネットデータセンター等のIP管理指定業者へ分配されており、これらの情報は公表されています。
IPアドレスは所有する業者によって家庭用や商業用等と用途が分かれています。
特定の動画配信サイトは家庭用もしくはそれに順するIPアドレスからのみのアクセスを許可する、もしくは商業用の一部のIPアドレスを拒否するという方法を取ってアクセスをブロックしているケースもあるようです。
一部の動画配信サービスが特定のレンタルサーバー経由でアクセス出来ない理由の1つがこれに該当します。
NordVPN, ExpressVPN, VyprVPNなどの大手VPNプロバイダーの日本サーバーを使っても見れない理由の1つが、JPNICに登録されていない広域IPを使用している為と考えられます。特定の動画サイトはJPNICに登録されているIPからのアクセスのみを許可するという措置を取っています。
どうしたら見る事が出来るの?
残念ながら、NordVPNやExpressVPN, VyprVPN等の大手VPNプロバイダーは日本リージョンに限って多くの動画配信サイトが閲覧できない状況です。
しかし、幾つかのVPNプロバイダーはアクセス出来るサーバーを提供しています。
1. 中国以外の地域から見る場合
中国以外の地域から確実に見たい場合は、自宅にVPNサーバーを構築するという方法が確実です。家庭用のIPアドレスはブロックされる事がありません。ブロックされたとしてもすぐにクレームを出せば解除してもらえるはずです。デメリットとしては、やはり技術的な壁や、速度が出なかったり、通信が不安定と言ったリスクもあります。
最近はルーターにVPNサーバー機能が付属している商品も増えており、以前に比べてサーバー構築の難易度が低下しています。
非常に厳しく制限されている動画配信サイトを閲覧出来る保証はありませんが、固定IPが使えるインターリンクのマイIPや、UCSSのグローバルプランは殆どの動画配信サイトを閲覧可能です。
UCSSのカスタムオーダーは通常の固定IPではなく、他の人が使えない専用固定IPを利用出来るのでブラックリストへ入れられる可能性が低くなるというメリットがあります。
2. 中国から見る場合
中国から日本の動画配信サイトが見たい場合はUCSSがベストです。日本最大手セカイVPNでも見れないDAZN, Hulu等と言った動画配信サイトへアクセス出来ます。
関連中国から日本の動画配信サイトを見たい人はどうしたらいいの?
*UCSSもマイIPも動画配信サイトが必ず見れると保証していませんのでご注意下さい。
VPNプロバイダーと動画配信サイトの今後について
現状としてはVPNプロバイダーはIPを交換しながら対応し、動画配信サイトはブロックで応戦すると言ったいたちごっこが続いています。実際にNetflixは2018年に入ってからブラックリストのIPリストを更新して多くのIPアドレスから動画を見る事が出来なくなりました。またDAZN, Hulu, Paravi, U-Next等は非常に厳しくアクセスを制限しています。
IP4vと言う今メインで使われているIPアドレスの数には制限があるので、いたちごっこを続ければいつか終わりが来てしまいます。しかし、IP6vという無限に近い数のIPアドレスが使える新しい規格が広まりつつあります。今後動画配信サイトはどのような形で運営していくのでしょうか。