インターネット規制の強化が続く中国。アップルが中国に妥協して、2017年7月末に多くのVPNアプリが中国の「App Store」から削除されました。
VPNだけでなく、11月半ば頃にスカイプまでもが中国のアップルストアから消された模様です。いったい何が起きているのでしょうか?
アップルのアプリ削除
2017年の1月にニューヨーク・タイムズのアプリが削除され、この問題が大々的に報道されたのが7月のVPNアプリの大幅削除です。
これに対して、VyprVPN、ExpressVPNは中国政府の強硬策、そしてアップルが中国のインターネット検問を支持している事について遺憾を表明しました。
参照Apple removes VPN Apps from China App Store
実際に検索してみると、ExpressVPNを始めとする海外大手VPNプロバイダーの公式アプリは残らず削除されています。それだけでなく、Shadowsocksを使用するためのクライアントアプリも削除されていました。
2017年12月現在中国のAppStoreでSkypeを検索すると実際にどのように表示されるのでしょうか?
上記のように公式アプリが表示されず、確かに削除されていました。
現在アプリは削除されましたが、Skype自体の通信は可能です。
では、Skype削除についてどんな公式発表があったのでしょうか?
Skype削除の公式発表では?
今回アップルの広報担当による発表によると、「公安省がアップルに対して多くのVoIP(IP電話)アプリが国内法に準拠していない、と通知を受けた為に削除した」との事です。
マイクロソフトは次のような声明を出しています。
「スカイプのiOSバージョンは中国のアップストアから一時的に削除されている。当社はできるだけ早期の同アプリの復旧に努めている」
何故Skypeまでも?
そもそもSkypeはマイクロソフトが買収後、中国では現地の法律に沿って運営していました。2006年頃から中国版のSkypeは中国のサーバーを経由しており、当局が通信内容をモニタリングしているというのは有名な話です。実際に中国から海外版のSkypeの公式サイトにアクセスすると全て中国版公式サイトにリダイレクトされます。
参照China listening in on Skype - Microsoft assumes you approve
上記の理由から海外サービスにも関わらず長い間使用可能だった事に加え、マイクロソフトと中国政府の関係上、Skypeはブロックされないだろうと踏んでいました。しかし、2017年11月末にiOSアプリが削除されました。これは通信ブロックという処置よりも重い部類に入ります。
この処置からすると当局に不利な要素があった事は確実です。個人的な推測をすれば、SkypeのiOSアプリは仕様上、海外版と変わらないアプリをアップロードしていた可能性があります。Skypeのユーザー数が多く、当局がモニタリング出来ない・しにくい通信が行われているという事でしょう。また、マイクロソフトと中国当局との関係の変化も関係しているかもしれません。
マイクロソフトの声明の「一時的」という言葉が気になります。中国版のiOSアプリを公安省の要求に沿う形で調整して再度サービスを開始する予定なのでしょうか。
これからもユーザーが一定数を超えたメッセージアプリ、VoIP(IP電話)アプリは削除もしくは通信ブロックの対象になる事は確実です。既に、WhatsApp,Telegram等多くのユーザーを抱えるアプリはブロックされています。
VPNを使えば中国でブロックされているサービス全てを使用する事が出来ます。しかし、2017年12月現在までに多くのVPNもブロックされており、中国から繫がるVPNは多くありません。
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