VPNの基礎知識

なんでVPNが繋がらないの?中国でVPN回線を維持する難しさを解説します

2018年2月1日

2017年1月にVPNサーバーの構築・運営を登録制にする事、無許可のVPNサービスを排除する通達が出されてから数ヶ月の間に次々と中国国内のVPNプロバイダーが閉鎖に追い込まれてきました。それ以降も規制の締め付けは年々激化しており、2026年現在にいたるまで、過去最大規模のVPN討伐作戦が断続的に行われています。

中国国内で運営していたVPNプロバイダーは、水面下に潜って運営を続けていたり、国外で会社登録をして運営を続けたりとあらゆる手段を使って法規制を逃れようとしています。

海外のVPNプロバイダーは法的に制裁を受ける事はありませんが、当局は中国国内からの通信を遮断するという方法を用いて対抗しています。

中国のインターネット回線事情

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出典CNNIC

中国は日本やアメリカのようなネットワークとは異なり、中国から、中国へのルーティングは開放されていません。China TlecomとChina Unicomの2社が国の指導の元に80%近くのインターネット回線を独自に構築しており、IPアドレスの提供方法、ネットワークの経由について独自の仕方で運営しています。そんな理由から世界のDNSルートサーバーから隔離されており、IPのエニーキャストは超大手のテンセントやアリババを除いて不可能な状態になっています。

中国の国際回線の出入口は、現在も北京,上海,広州の3ヶ所がメインの窓口となっています。近年、海底ケーブルの増強や総帯域幅の拡大は進められているものの、14億人近い人口と爆発的に増加した現在のデータ通信量から考えると、1人あたりの海外帯域幅は依然として圧倒的に不足しています。

日本では多くの出口と無数の海底ケーブルによる大規模なネットワークが展開されているのに対し、中国では海外へ出入りする帯域幅やデータ通信量が国によって厳格に制限されていると言った状況です。

VPNが繋がりにくい理由

中国でブロックされていない海外のホームページへの繋がりが遅い理由は上記のネットワークのインフラと制限が主な理由になりますが、VPNでの接続は話が変わってきます。
VPN接続の最大の強敵はグレートファイアウォール(略称GFW)と呼ばれる分散型ネットワーク検知システムの存在です。

関連中国でVPNがなんで必要なの?グレートファイアウォールとは?

VPNで良く使われるプロトコル、L2TP,PPTP,OpenVPN,SoftEtherと言ったプロトコルは既にGFWによって分析済みで検知されています。2026年現在、これらの古いプロトコルを用いた一般的なVPN接続は、中国国内からはほぼ100%全滅状態(接続すら不可能)となっています。検知後の処理は大まかに言うと下記の3つに区分されています。

  1. 速度制限(スロットリング)
  2. IPブロック
  3. URLブロック

L2TP,PPTPでの接続を提供しているVPNプロバイダーを利用された事がある方は経験済みかもしれません。VPNサーバーに接続は出来る状況で、最初の数十秒はスピードが出て、すぐにウェブサイトの読み込みもままならない速度になるという状況が①の速度制限に当てはまります。(接続先サーバーへのインフラの問題も関係しています)

古くから積極的に使用されている方法が②のIPブロックになります。中国国内の地域毎のプロバイダーでブロックされるケースと、中国国内全体でブロックされるケースと二種類確認していますが、基本的にはGFWがブロックした場合は中国国内で接続不可になります。

さらに2026年現在は、GFWに高度なAI・機械学習を用いたトラフィック解析が導入されました。これにより、かつて規制に強いと言われていた大手VPN(LetsVPNなど)ですら一時的に完全遮断に追い込まれるほどの「物理的サーバー切断作戦(通称:Great Unplug)」が実施されるなど、通信量と接続数が多い海外のサーバーIPを、プロトコルに関係なく根本から断続的にブラックリストに入れて遮断するケースが主流となっています。

2017年10月に起きた空前の大規模規制

2017年10月に開催された中国共産党第十九回全国代表大会前後に中国の歴史上最大規模のVPN討伐作戦が実施されました。一時的にですが、広東省のインターネット国際出口を封鎖し、北部の一部地域の国際出口へのネットワークを遮断しました。かつてこのような規模でネットワークを封鎖した事が無く、多くの外資系企業や海外取引をしている中国企業が影響を受けました。

更に、党大会の前後には疑わしいと思われるサーバーIPを断続的に遮断し続けて、かなりの数のVPNプロバイダーがIPを交換してもすぐに切断されるという異常事態を経験したようです。余談ですが、ExpressVPNのHong-kong1はこのような状況でも接続を維持していた数少ないサーバーの一つです。

その後の状況

この2017年の党大会以降、中国政府による「政治的イベント毎に大規模なIPブロックを連発する」という傾向は完全に定着しました。現在も「両会(全国人民代表大会など)」や重要な国際会議のシーズンになると、数日間にわたって海外へのVPN通信がほぼ完全に麻痺する異常事態が頻発しています。

当局がVPNを遮断したい理由は幾つかあると思われますが、一つの理由としてテロを未然に防ぎたいという事や、国内の情報統制を完璧に保ちたいという事が挙げられます。VPNを使われると通信の監視が不可能で、世界中のテロリストやハッカーは必ずと言っていいほどVPNを利用しています。実際に特別警戒地域である新疆地区でのVPN制限は昔から行われています。

中国でVPN回線を維持する難しさ

世界中に幾百ものVPNプロバイダーが存在する中、中国で正常な速度で接続可能なVPNプロバイダーは一握りです。何故でしょうか?

ここ1、2年の間に、中国のグレートファイアウォール(GFW)には高度なAIや機械学習を用いたトラフィック解析が導入されました。これにより、かつて規制に強いと言われていた大手VPNであっても一時的に完全遮断に追い込まれるほどの「物理的サーバー切断作戦」が断続的に実施されています。そのため、世界最大手クラスのサービスですら夜間や休日に頻繁に切断されるのが現状です。この厳しい検閲下で正常な回線を維持するには、数日単位でプロトコルを細かくチューニングし続ける執念か、あるいはGFWの検閲対象外である「国際専用線(IPLC)」の帯域を直接買い取る特別なインフラと技術力、そして多大なコストが必要になるためです。

具体的には、主に以下の3つの大きな理由(コスト、IPの数、技術力)が関係しています。

1. 高速で通信可能なサーバーが高額

中国のインターネットプロバイダーへ直通へ接続出来る回線は限られており、サーバー提供会社はかなり高額な回線費用をインターネットプロバイダーに支払わなくてはなりません。
その為に、中国付近で接続環境が良好な、香港、日本、台湾、韓国から中国へ直通で繫がるサーバーは高額です。

2. 大量のIPが必要

大手のVPNプロバイダーは当局に目を付けられているので定期的にIPをブロックされています。中国の為に複数台のサーバーを運用しており、ブロックされる度にIPを変更しなくてはいけないので、かなりの数のIPアドレスが必要になってきます。取り分け香港のIPは枯渇しており価格が高騰しています。

3. 24時間体制での監視、ミラーサイト、特殊なサーバーを構築する技術が必要

当ホームページで紹介している中国で繫がるVPNプロバイダーはどこもhttpsに偽装して通信出来るOpenVPNを独自に開発しています。更に、中国のブロック対策の為に中国のサーバーをレンタルして、そこから24時間体制でサーバーを監視しており、ブロックされても接続が途切れないようにする為に多大な企業努力を払っています。また、ウェブサイトも公式とは別に、ミラーサイトと呼ばれる中国からVPN無しで接続出来るサイトを構築して中国に対応しています。

特に名の知れたVPNプロバイダーはピンポイントで狙われるのでサービスを維持するのは容易ではありません。多くのVPNプロバイダーは前述したコストや人件費や、知識不足から中国での接続を諦めているのが現状です。

つまり、何を基準に選べばいいのか

ここまで見てきた①高額なサーバー費用への投資、②大量のIPを確保し続ける体力、③24時間体制の監視技術という3つは、そのままVPN選びのチェックリストになります。逆に言えば、この3つに継続的な投資をしていないプロバイダーは、たとえ有名でも中国では安定しません。

日本のIPを使いたい方には、この3条件に実際に投資を続けているプロバイダーとしてUCSSをオススメしています。専用回線(IPLC/IEPL)を採用し、プロトコルの移行にも早くから対応しているため、上記で説明したような遮断・スロットリングの影響を受けにくい構成になっています。

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