この記事の結論(先に3行で)
GFW(中国のネット検閲システム)は、見る場所の違う複数の仕組みで、回避ツールや遮断対象の通信を見分けています。
TLS系(HTTPSと同じ暗号化で包む方式)では、Trojanは現在GFWに完全に検知されています。いまの主流はAnyTLSです。
VLESS+REALITYは実在サイトの外見を借りる別の解き方です。Hysteria 2はTCP向けの検知の外にいますが、接続先のサイト名を見て止める検閲と、UDPへの制限が残ります。
AnyTLS、VLESS+REALITY、Hysteria 2、Trojan、TUIC。中国から海外へつなぐ方式を調べると、この5つの名前が並びます。
この記事は、2026年10月時点の公開資料をもとに、5方式を「GFWから見た検知されやすさ」で比べます。設定手順は扱いません。後半では、どの方式でも残る限界と、商用サービスがどんな構成で同じ課題に当たっているかを扱います。
回線側の選択肢を先に確認したい方は、下のボタンからどうぞ。
5つの方式とは:AnyTLS・VLESS+REALITY・Hysteria 2・Trojan・TUIC
- AnyTLS:TLSの中の作りを組み替え、通信の特徴を固まりにくくした方式。2025年2月公開
- VLESS+REALITY:運搬役のVLESSに、実在サイトのTLSの外見を借りるREALITYを組み合わせた構成
- Hysteria 2:QUICの上で動き、パケットが失われやすい回線でも速度を落としにくい方式
- Trojan:TLSで包み、HTTPSと同じ振る舞いを目指した方式。2017年公開
- TUIC:Hysteria 2と同じくQUICの上で動き、QUICの標準機能をそのまま使う方式
表と本文で使う言葉は、次のとおりです。
- TCPとUDP:通信の送り方。TCPは届いたかを確かめながら送り、UDPは確かめずに送る
- TLSとQUIC:TLSはHTTPSの暗号化に使う仕組みで、暗号化を始める前の最初のやりとりをTLSハンドシェイクと呼ぶ。QUICはUDPの上で動く新しい通信方式
- TLS-in-TLS:TLSで包んだ通信の中に、利用者自身のTLS通信がもう1つ入っている状態。往復の回数やデータのかたまりの大きさに特徴が出る
- SNIフィルタリング:接続先のサイト名(SNI)を見て、ブロックリストと照らして止める検閲
- アクティブプロービング:GFW側からサーバーに接続し、返ってくる応答で判定する方法
- 難読化(obfs):Hysteria 2が持つ、QUICの見た目を消してランダムなUDPに見せる機能
- マスカレード:アクティブプロービングに対して、普通のWebサーバーのように応答する機能
使うにはアプリ側の対応も要ります。Shadowrocket・Stash・sing-box・mihomo・v2rayNは、5方式のいずれにも対応しています。AnyTLSの対応版は、Shadowrocketが2.2.65以降、v2rayNが7.14.0以降、sing-boxが1.12.0以降です。Shadowrocketの画面操作はShadowrocketの操作方法にまとめています。
検知されやすさ早見表:Trojan・REALITY・AnyTLS・Hysteria 2・TUIC
この表は、各方式を単体で、公衆のインターネット回線上に置いた場合の比較です。回線や偽装を組み合わせた商用サービスの構成は、後半の章で別に扱います。
| 方式 | 検知度 | 主な理由 |
|---|---|---|
| Trojan | 高い | 完全に検知されている。TCP・TLS。2022年10月の一斉遮断の対象。プロトコル自体にTLS-in-TLSの特徴を抑える工夫がない |
| VLESS+REALITY | 低め | 設計上の評価。TCP・TLS。実在サイトの外見を借りる。長期の第三者検証は公開されていない |
| AnyTLS | 低め | 設計上の評価。TCP・TLS。TLS系の主流。TLS-in-TLSの特徴が固まらないよう内側を作り直した |
| Hysteria 2 | 中 | UDP・QUIC。TCP向けの検知は当たらない。独自ドメインがSNIフィルタリングのリストに入った例や、ISPによるUDPの遮断・速度制限の報告がある |
| TUIC | 中〜高 | UDP・QUIC。Hysteria 2と同じ状況に加え、難読化もマスカレードも持たない |
「低め」の2方式は、設計がGFWのどの検知を避けているかから見た評価です。実際の遮断率を測った数字ではありません。
2024年には、研究者が米国のISP(インターネット接続事業者。利用者100万人超)の回線で、TLS-in-TLSの特徴を実際の通信から見分けられることを示しています。
検証の対象には、REALITYと組み合わせるVision(TLS-in-TLSの特徴を目立たなくする仕組み)も含まれています。特徴を目立たなくしても、検出側が手法を合わせれば見分けられる余地がある、という内容です。REALITYとAnyTLSを「低い」ではなく「低め」とし、「設計上の評価」と添えているのはこのためです。
GFWは通信の「どこ」を見ているか(4つの見方)
GFW(グレート・ファイアウォール)が回避ツールや遮断対象の通信を見分ける仕組みは、1つではありません。時期の違う複数の仕組みが並行して動いています。以下は、2022〜2025年に公開された測定報告と論文の時点の内容です。
| 見方 | 見ているもの | 当たりやすい方式 |
|---|---|---|
| 完全暗号化通信の検知(2021年11月〜) | 最初に送られるデータの並び方 | 既知の通信の形に似せず、全体がランダムに見える方式(TCP) |
| TLS系の回避ツールの識別(2022年10月の一斉遮断) | TLSハンドシェイクの癖や、TLS-in-TLSの特徴(推定) | TLSで包む方式(Trojanなど) |
| SNIフィルタリング(2024年4月〜) | QUICの最初のパケットに書かれたSNI | QUICを使う方式(その名前がブロックリストに載った場合) |
| アクティブプロービング | サーバーに試しに接続したときの応答 | 独自の応答を返すサーバー |
2021年11月:「何にも見えない通信」を疑う検知
GFWは2021年11月から、完全に暗号化された通信をその場で見つけて遮断してきました(2023年の論文の測定時点)。対象は人気のデータセンターの一部のIP範囲に限られ、その中でも一部の接続だけが確率的に検査されていました。
判定は消去法です。「これは普通の通信だ」とみなす例外の条件を並べ、どれにも当てはまらないものを疑います。 例外には、先頭が文字として読める、TLSやHTTP(Webの通信の決まり)の書き出しに一致する、などがあります。
裏を返すと、既知の通信の形をまねず、全体をランダムに見せるだけの方式は、例外の側に入れません。隠し方そのものが目印になるという構造です。なお、論文の測定(2023年時点)では、この検知はTCPだけが対象で、UDPには適用されていませんでした。
2022年10月:TLSに見せるだけでは足りなくなった
TLSに見える通信は、2021年の検知では例外として通ります。そこでTLSで包む方式が受け皿になり、Trojanはその代表でした。
ところが2022年10月3日以降、TLS系の回避サーバーが大規模に遮断されました。報告の対象には、Trojan、VLESS(TLSと組み合わせた構成)、V2Ray(回避ツールの一つ)などが含まれます。
遮断は待ち受けポート単位で入りました。ポートを替えて使い続けたサーバーが、IPアドレスごと遮断された例もあります。GFWは回避サーバーを個別に見分けていたとみられます。
一方、Chromeの通信部分をそのまま使うnaiveproxyは、遮断の報告が上がりませんでした。TLSを一律に止めたのではなく、見分けられる特徴を持つものが狙われた、と読むのが自然です。
GFW側の公表はなく、原因は実測で裏付けられていません。挙がっている見方は2つです。
- 遮断を報告したgfw.reportが疑ったもの:回避ツールのTLSハンドシェイクの癖が、ブラウザと違うこと
- 回避ツールの開発者側(Xray)で問題にされたもの:TLS-in-TLSの特徴
2024年4月:UDPも無風ではなくなった
QUICの最初のパケットは暗号化されています。ただ、その鍵は通信の中に見えている情報から誰でも計算できる仕様です。そのため経路の途中でも復号して読めます。
GFWは2024年4月から、そこに書かれた接続先の名前(SNI)を読んで遮断してきました(2025年の論文の時点)。これは回避ツールを見分ける仕組みではなく、ブロックリストを使うWeb検閲です。回避ツールに当たるかどうかは、SNIに書く名前がリストに載るかどうかで決まります。
アクティブプロービング:応答の返し方で見分ける
4つ目は、通信の中身ではなくサーバーそのものを試す方法です。GFWは疑わしいサーバーに自分から接続し、応答を確かめることがあるとされます。多くの方式は、この検査を想定して設計されています。
独自の応答を返したり、普通のWebサーバーなら返す応答を返さなかったりすると、それ自体が目印になりえます。Trojan・REALITY・Hysteria 2は、認証の通らない接続に普通のWebサイトとして応答します。これがこの検査への備えです。ただしHysteria 2は、難読化を使わない設定の場合に限ります。
GFW全体の構造はGFWが通信を遮断する仕組みにまとめています。
AnyTLSとは何か:Trojanは検知される側へ、TLS系の主流に
AnyTLSは何を変えたのか
TLS系でいま主流になっているのがAnyTLSです。2025年2月の公開後、sing-box、mihomo、v2rayN、Shadowrocket、Stash、Loonが相次いで対応しました。
AnyTLSが向き合ったのは、TLSで包む従来の方式(Trojanなど)が抱えていたTLS-in-TLSの問題です。認証はTrojanと同じくTLSハンドシェイクが済んだあとに行い、ハンドシェイクそのものには手を加えません。そのうえで、TLSの内側の作りを次の2点で組み替えました。
- パディング(データに足す詰め物)の入れ方をサーバーから配る。 長さの入れ方が固定されないため、特徴がパターンとして固まりにくい
- 1本の接続を使い回す。 通信のたびに外側のTLSハンドシェイクをやり直さないので、待ち時間が減る
ただし、この2点でTLS-in-TLSの特徴を完全に消せるとまでは言えません。公式のFAQも既知の弱点として、次の2点を挙げています。
- 下り方向の通信には手を入れていない
- HTTPサーバーではないため、アクティブプロービングに対する弱さが残りうる
公開から日が浅く、第三者による長期の検証もまだ公開されていません。早見表で「設計上の評価」と添えているのはこのためです。
Trojanは、いまGFWに完全に検知されている
Trojanは、HTTPSと同じ振る舞いを目指した方式です。自前のドメインと証明書でTLSサーバーを立て、合言葉が合わない接続は普通のWebサーバーへ流します。アクティブプロービングには強い設計でした。
ただし現在、TrojanはGFWに完全に検知されている方式です。 公開資料からは、次のことが確認できます。
- 2022年10月の一斉遮断の対象に含まれた。 TLS系の回避サーバーがまとめて遮断され、Trojanのサーバーも報告に含まれていました
- プロトコル自体に、TLS-in-TLSの特徴を抑える工夫がない。 TLSの中に利用者の通信をそのまま通す作りで、VisionやAnyTLSのような工夫は入っていません
あわせて、本家の実装(trojan-gfw)の最後のリリースは2020年6月です。その後の検知の変化に合わせた改良は入っていません。新しく選ぶ理由は、いまは見当たりません。
VLESS+REALITYとは:実在サイトの外見を借りる方式
VLESSは本来、暗号化を外側の層に任せる軽い運搬役です。2025年8月からは、Xrayで任意の自前の暗号化も選べます。REALITYと組む構成では、暗号化と外側の偽装をREALITYが受け持ちます。
REALITYは、2022年10月の一斉遮断の後に出てきた仕組みです。自前のドメインや証明書を使わず、実在する別のサイトとのTLSハンドシェイクを、外見として借ります。 外からは「ブラウザが、そのサイトへ接続している」姿に見えます。GFWがサーバーに接続して確かめても、その実在サイトの応答が返ります。TLS-in-TLSの特徴は、多くの構成で組み合わせるVisionが目立たなくします。
弱点として知られているのは、借りたサイトの名前と、サーバーのIPアドレスの持ち主の食い違いです。名前は大手サイトなのに、接続先は無名のサーバー。こうした組み合わせは、不自然に見えることがあります。公式の説明も、借り先のIPがサーバーのIPに近いほうが自然に見える点を、望ましい条件に挙げています。
外見を借りるREALITYと、内側を作り直すAnyTLSでは、狙っている層が違います。どちらかがもう一方の置き換えになる関係ではなく、別々の解き方です。
Hysteria 2とTUIC:UDP系は別の検閲に当たる
Hysteria 2とTUICは、土台をTCPからQUIC(UDP)へ移した方式です。2021年11月からの検知は、論文の測定ではUDPに適用されておらず、その外側にいます。
Hysteria 2は、パケットが失われやすい回線でも送る速さを落としにくい独自の制御を持ちます。オプションで難読化とマスカレードも使えます。ただし公式の説明どおり、難読化を有効にするとHTTP/3(QUIC上のWeb通信)として振る舞えなくなります。そのため、マスカレードとは両立しません。
TUICは、QUICの標準的な機能をそのまま使う設計です。難読化も、アクティブプロービングへの固有の備えも持ちません。
UDP系にも当たるものが2つあります。1つはSNIフィルタリングです。Hysteria 2やTUICが当たるかどうかは、SNIにどの名前を書く構成かで変わります。2025年の論文では、Hysteria用に利用者が独自に用意したドメインもブロックリストに入っていました。
この検閲には、最初のパケットが分割されると組み立て直さないという弱点があります。Hysteria 2(2.6.2以降)などの主要な実装は、2025年から既定で分割して送るようになっています。
もう1つは、回線事業者によるUDPの扱いです。Hysteriaの公式ドキュメントは、利用者の報告を紹介しています。中国のISPが、1つのポートへの長時間のUDP接続を遮断したり、速度を制限したりするというものです。その対策として、接続先のポートを切り替える機能も用意しています。
UDP系は、TCP向けの検知を避けられる利点を今も持っています。ただし、SNIフィルタリングと回線事業者側の制限という別の壁があります。早見表でHysteria 2を「中」、TUICを「中〜高」としているのはこのためです。
どの方式を選んでも残る限界
ここまで方式の差を見てきましたが、どれを選んでも消えない制約があります。
1. 法令上の位置づけは、方式では変わらない。 中国の「計算機信息網絡国際聯網管理暫行規定」は、第六条で国際接続に使える回線を国が認めたものに限っています。第十四条は、接続の停止、警告、1.5万元以下の罰金を定めています。対象には個人も含まれ、個人に行政処罰が行われた例も報じられています。暗号化の強さや偽装の精度は、この条文が及ぶ範囲を動かしません。
2. サーバーのIPごと遮断されたら、方式では対抗できない。 2022年10月の一斉遮断でも、ポートを替えたサーバーがIPごと遮断された例がありました。宛先そのものが止められれば、手元で方式を替えても意味がありません。方式の工夫は、見つかる確率を下げ、見つかるまでの時間を延ばすためのものです。遮断そのものを消す手段ではありません。
3. 接続先は、サーバーの運営者が知ろうと思えば分かる。VPNでも同じ。 この記事の各方式も一般的な商用VPNも、遠隔で管理されるサーバーがプロキシとして動作し、利用者の代わりに宛先のサイトやアプリへアクセスする仕組みです。そのため運営者は、利用者のIPアドレスと接続先の両方を、知ろうと思えば知ることができます。中継を分けて1か所が両方を知らないようにしているTorのような匿名化ネットワークとは、この点が異なります。
通信が暗号化されていても、接続先は運営者に分かります。何をどこまで見られるかは、方式かVPNかという違いではほとんど変わらず、サーバー側がどう監視しているかの問題です。つまり他者が運営するサービスを使う場合は、サーバーを運用している相手を信頼するという前提が必ず一つ入ります。
なお、この記事の各方式と、OpenVPNやWireGuardといった一般的なVPNプロトコルは、設計は異なりますが、商用のVPNサービスで使われるときの目的は同じです。VPNプロトコルはVPNプロトコルの比較で別に扱っています。
4. 自前で運用すると、その負担はすべて自分に来る。 自前でサーバーを建てれば、3の「運営者を信頼する」前提を自分の側へ寄せることはできます。その代わり、次の作業がすべて自分の仕事になります。
- 遮断のたびにIPを移す
- ドメインと証明書を用意し直す
- サーバー代を払い続ける
- 検知の変化に合わせて方式を追いかける
運用が止まった時点で回線も止まる、という依存関係は最初に見込んでおくところです。
プロトコル1枚で勝負しないという選択肢
早見表は、1つの方式を公衆の回線に置いた場合の話でした。中国向けに続いている商用サービスは、方式だけでなく、回線の経路・偽装・運用を重ねて同じ課題に当たっています。
方式が解決するのは「見つかるかどうか」までです。通った後に国際回線のどこを通り、どれだけ混んだ区間を抜けるかは、方式では決まりません。夜に遅い、動画が止まるといった症状の一部は、国際出口の混雑が原因と考えられます。この場合、方式を何度入れ替えても改善しません。回線側の構造は中国3大キャリアの国際経路の整理で扱っています。
UCSSが公表している構成
具体例として、中国向けのサービスであるUCSSの公式サイトの記載を並べます。
UCSSはAbout Usで、創業の経緯として「安全性とカスタマイズ可能なShadowsocksの可能性を見出し、その開発初期から利用してきました」と書いています。日本語の公式サイトでは、現在使っているプロトコルの名前を挙げていません。説明しているのは名前ではなく、次の構成です。
- 中国向けのサーバーは、すべて国際専用回線を経由する(よくある質問 ftr-04)
- HTTPに似たパケットに偽装できる(同 cmp-07)
- TCPでの転送が主体で、UDPにも対応する。インターネットプロバイダーの制限による影響を受けずに通信できる(同)
- WireGuardと同じAEAD(認証付き暗号)で保護する(同)
- IPやドメインをもとに、接続のルールを自由に設定できる(同)
運用の面では、2026年7月にサードパーティ製アプリのサポートを終了し、公式アプリへの移行を案内しています。
公式は専用回線だけでなく、回線の経路と、通信の見え方(偽装)の両方を並べています。前半で見たとおり、2021年からの検知は、TLSやHTTPの書き出しに一致する通信を例外として扱います。公式の「HTTPに似たパケットへの偽装」は、この「何に見えるか」の層についての説明です。また「TCP転送がメイン」という説明は、UDPの長時間接続が回線事業者に制限されるという報告と、向きが同じです。
自前でサーバーを建てる場合、回線は市販のサーバーと公衆のインターネットで決まり、選べるのはほぼ方式だけです。だから方式の側に偽装を突き詰める必要が出てきます。国際区間に専用回線を敷ける事業者は、検知をかわす役割を方式1枚に背負わせずに済むと考えられます。
限界の4つ目で挙げた負担と照らすと、サーバーと回線の運用は事業者側が行い、利用者は公式アプリで接続する形です。そのため、IPの移転や証明書の管理、方式の追従を利用者が自分で行う場面は少なくなると考えられます。プランと回線の詳しい構成は、次の記事にまとめています。
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【UCSS】中国のVPN比較|料金・安定性・向かない人の結論
続きを見る
UCSSの弱点も先に書いておく
- 料金が高い。 1ヶ月契約のLiteは$29、12ヶ月契約のStandardでも月あたり$9相当(50GBで年$108)です。年額を大きく下げている大手と比べると高価です
- プランによっては通信量に上限がある。 Liteは無制限(200GBを超えると速度が落ちます)です。Standardは月間50〜500GBの選択制で、使い切る前提の使い方には向きません
- 無料お試しがない。 契約前に自分の回線で試すことはできません
料金と無料お試しの2点に限れば、他社が明確に勝っています。ここを最も重く見るなら、UCSSは選ぶべきではありません。
逆に、遮断のたびに方式やサーバーを組み替える時間を、回線と運用ごと預けたいという判断なら候補に入ります。中国で使える1ヶ月契約は、中国本土専用のLiteだけです。短期の滞在ならLiteの月契約、長く住むなら月あたりが安いStandardの12ヶ月と、期間で選ぶのが無駄のない進め方です。
よくある質問
Q1. Trojanはもう使えませんか
TrojanはGFWに完全に検知されている方式で、中国からの接続に新しく選ぶ理由はいまは見当たりません。2022年10月の一斉遮断の対象に含まれ、プロトコル自体にTLS-in-TLSの特徴を抑える工夫もありません。本家の実装も2020年から更新されていません。TLS系で選ぶなら、いまの主流はAnyTLSです。
Q2. AnyTLSにすれば検知されませんか
「検知されにくい設計」であって、「検知されない」とは言えません。TLS-in-TLSの特徴が固まらないよう作られていますが、完全に消せるとまでは言えません。公式のFAQも、下り方向の通信には手を入れていないことなどを既知の弱点に挙げています。また、サーバーのIPごと遮断された場合や法令上の扱いは、どの方式でも変わりません。
Q3. UDPを使うHysteria 2なら安全ですか
2021年11月に始まった完全暗号化通信の検知の外側にはいます。論文の測定(2023年時点)では、UDPに適用されていませんでした。ただしQUICには、2024年4月からSNIフィルタリングが動いています。中国のISPがUDPの長時間接続を遮断・速度制限するという報告もあります。「TCP向けの検知を避けられる」ことと「検閲全般を避けられる」ことは別です。
自前で運用する場合、方式を選んでも残るのは、遮断のたびのIP移転、証明書の用意し直し、検知の変化への追従といった運用の負担です。
UCSSを選ぶと、サーバーと回線の運用はサービス側が行い、利用者は公式アプリで接続する形になります(法令上の扱いやIPごとの遮断といった限界は、どのサービスでも残ります)。
中国に長く住むなら、最初からStandardの12ヶ月(50GBで年$108)を選ぶのが割安です。月あたり$9相当で、Liteの月契約($29)より負担が小さくなります。ただしStandardは通信量が選んだ量まで(50GBなら月50GB)で、1年分の前払いです。無制限で月ごとに払うLiteとは条件が違います。
参考にした一次情報
この記事の技術的な記述は、次の論文と公式ドキュメントに基づいています。
- USENIX Security 2023「How the Great Firewall of China Detects and Blocks Fully Encrypted Traffic」
- gfw.report「Blocking of TLS-based circumvention tools」
- USENIX Security 2024「Fingerprinting Obfuscated Proxy Traffic with Encapsulated TLS Handshakes」
- USENIX Security 2025「Exposing and Circumventing SNI-based QUIC Censorship of the Great Firewall of China」
- trojan-gfw/trojan(リリース履歴)
- anytls/anytls-go(対応クライアント)
- anytls-go FAQ(既知の弱点)
- sing-box公式ドキュメント(AnyTLS)
- v2rayN 7.14.0 リリースノート
- Xray公式ドキュメント(VLESS)
- Xray-core PR #5067(VLESS Encryption)
- Xray-core Discussion #1295「XTLS Vision, fixes TLS in TLS」
- XTLS/REALITY README
- Hysteria 2公式ドキュメント
- Hysteria 2公式ドキュメント(Port Hopping)
- Hysteria 2公式ドキュメント(Full Server Config:obfsとHTTP/3)
- UCSS公式サイト About Us
- UCSS公式サイト よくある質問(cmp-07 / ftr-04)
