VPNレビュー

Proxy.sh VPN レビュー

2017年8月11日

Proxy.sh はサービスを終了しています。2019年12月頃からチケット対応・サポートが停止し、2020年半ばまでに完全に停止したとされています。以降、復旧していません。2026年9月17日に確認した時点で、公式サイト proxy.sh はクローズを告げる一文だけを返し、申し込み・管理画面の URL(/panel/)は HTTP 404 を返します。この記事は2017年当時の Proxy.sh を記録として残したもので、これから契約できるサービスの紹介ではありません。以下に書かれている料金・プラン・機能・クーポンはすべて停止前の情報で、現在は利用できません。

proxysh-logo

べすとVPNレビュー(2017年当時) 4.5 out of 5 stars
サーバー設置国の数 57ヶ国以上
サーバー数 300以上
対応アプリ Windows, Mac, Android (iOSはコンフィグファイルダウンロードアプリのみ)
同時接続可能数 3台(1アカウント)
利用料金 US$2.00 / 72h 〜
支払い方法 Visa, Master, Amex, JCB, Alipay, PayPal, Bitcoin

現在の中国で使えるVPNの検証記録を見る

インド洋のセーシェル共和国に所在地があるThree Monkeys Internationalというテクノロジー関係のベンチャー企業が2012年に始めたVPNサービスです。
Proxy.shという名前を聞くとプロキシサービスを提供しているように聞こえますが、徹底的に匿名性を追求したVPNサービスを提供しています。
プライバシー保護に関しては、当時のどのVPNプロバイダーよりも踏み込んでいました。具体的には次のような特徴を持っていました。

  • インド洋のセーシェル共和国に所在地がある(オフショア法域として知られる)
  • 文字通りの完全なノーログ
  • 完全な匿名状態でVPNを利用出来るオプションがある
  • 自社製DNSサーバー
  • 純正アプリはオープンソースで開発している
  • 業界最高クラスの強力な暗号化
  • TorでVPN接続が可能

料金体系もユーザーに親切で、$2 / 72時間というプランから利用出来ます。
管理人も当時は契約して使っていました。サーバーの質が高く、暗号化の強度の割に速度が出ていました。有料オプションの50Gbps帯域のサーバーを使えば、さらに速度が伸びました。

Proxy.sh は VPN 本来の目的を徹底的に追求したサービスで、Torrent を使う人、個人や会社でセキュリティを重視する人、高いレベルで匿名性を保ちたい人が主な利用層でした。ただし2019年12月頃からサポートが止まり、2020年半ばまでに完全に停止したとされているため、現在この用途で Proxy.sh を選ぶことはできません。

登録手順も2017年当時の記録として別記事に残しています。

関連Proxy.shへの登録方法(2017年当時の記録)

現在の Proxy.sh はどうなっているか(2026年9月17日の実測)

「proxy.sh がまだ使えるのか」を判断できる材料だけを先に置きます。以下は2026年9月17日に HTTP レスポンスを直接取得して確認した結果です。

確認対象 2026年9月17日の応答
公式トップ proxy.sh HTTP 200。ただし本文は18バイトで、運営自身が残した「Corporate seppuku.」の一文のみ
申し込み・管理画面 /panel/ HTTP 404(ページが存在しない)

トップページが HTTP 200 を返すため、ドメイン自体は生きているように見えます。しかし返ってくる中身は告知文1行だけで、アカウント作成・ログイン・支払いの入口はすべて消えています。ドメインの生死とサービスの生死は別物で、そこを切り分けないと判断を誤ります。

Proxy.shの3つの特徴(2017年当時)

他のVPNプロバイダーにはない多くの特徴の内3つを紹介します。

1. 唯一無二のプライバシー保護機能

Proxy.shは本当の意味でのノーログを約束しています。多くのVPNプロバイダーは自社サービス改善の為に、必要最低限のログは取っています。(個人は特定出来ない)しかし、Proxy.shはサーバーに接続したか否か、どこの地域から接続しているか、メタデータに至るまであらゆるログを保持していません。サーバーのハードディスクにユーザーデータは一切記録していない事を約束しています。

"Anonymous Tokens" というオプションを用意しており、支払い情報、ユーザーデータを削除して認証キーのみで接続する事も出来ます。このオプションを使えばアカウントレベルで匿名になる事が出来ます。ただし、ユーザーが特定出来ないのでサポートが受けられなくなります。Bitcoinや他の仮想コインの支払いを受け付けています。仮想コインを使えば誰が支払ったかトラッキング出来ませんので、使用者の特定が難しくなります。

"Network Alert" というプライバシーを守る為の独自のシステムを構築しています。このシステムは、第三機関、第三国が自国の捜査令状を使って、Proxy.shがそれぞれの国に設置してあるサーバー内容を調査しようとします。もしくは国家レベルのハッカーがProxy.shのサーバーをクラッキングしようと試みます。そんな時に、捜査されそうなサーバー、クラッキングされそうなサーバーをすぐにホームページ、Twitterからアナウンスして警告を発します。
国家からの圧力で公表出来ない場合でも、Proxy.shは"Warrant Canary" という仕組みも併用していました。これは団体や組織ではなく、国家安全保障書簡(NSL)のように「受け取った事実自体の公表を禁じられる」種類の秘密の情報開示命令を受けていないことを、定期的に宣言し続ける手法です。箝口令が掛かって直接は告知できない状況でも、宣言の更新が途絶えた時点で利用者側が事態を察知できる。Network Alert と合わせた二重の備えでした。
ノーログ、5-Eyes以外の会社所在地、と言ったプライバシー保護要素より更に上を行くシステムを提供しています。

2. オープンソースで開発しているVPNアプリ

Proxy sh1
Proxy.shはSafejumperという自社開発のOpenVPNクライアントを提供していました。対応OSはWindows・Mac・Androidの3つでした。このアプリの面白いポイントはオープンソースで開発されているという点です。
オープンソースには様々な利点がありますが、開発コードが公にされているので様々な人がコードを調査したり、テストする事が可能なのでバックドアやトラッキングする機能の有無をチェック出来ます。独自のトラッキングシステムや、バックドアを設置している可能性が極めて低いと言えます。
アプリに至るまで透明性を保っており、ユーザーが安心して利用できるよう配慮しています。

3. インターネット規制に対応している

あらゆる地域で匿名性を保ちながら規制を迂回する為に、Proxy.shはインターネット規制対策用のTorのPluggable Transports、XORというプロトコルを使って接続出来ます。最新の純正アプリは、ScrambleSuit, obfs3と言ったTorのobfsproxyに対応しています。
通信しているプロトコルの特徴を隠したり、偽装したりする事が出来ました。速度は落ちますが、2017年当時は中国でも有効でした。

Proxy.shの詳細情報

安全性

Proxy.shはインド洋のセーシェル共和国に所在地を構えています。あまり聞き慣れない場所ですが、元イギリス領で、法人設立や資産管理の受け皿となるオフショア法域として知られています。様々な外資系企業がセーシェル共和国に登録しています。5-Eyesを始めとする、EUやNSA等の情報開示を強制する法律や協定に関わりを持っていません。

安全性に関して徹底している点として、PPTPやL2TPと言った安全性に劣るプロトコルの設定は用意していません。
プロトコルは基本的に全てOpenVPNで、暗号化はAES256ビットにSHA512認証、RSA4096のハンドシェイクという最強に近い組み合わせがデフォルトです。
これより低い暗号化のオプションは用意されていません。
またECC (Elliptic Curve Cryptography)という最新のアルゴリズムも利用出来ます。この暗号化はキーサイズがRSAに比べて10%程度にも関わらずセキュリティは変わらないもしくはそれ以上と言った特徴があります。

プロバージョンのみですが、"Multi-Hop"というダブルVPNに似た機能を利用出来ます。
ダブルVPNは接続先のサーバーが指定されていますが、Multi-Hopはランダムに出口のサーバーが選択されます。VPNに接続している時点でIPを特定する事が困難ですが、更にもう一つのサーバーを経由するので匿名性が更に高まります。
DNSサーバーも自社製で完全なノーログを保証しています。

速度

Proxy.shは他のVPNプロバイダーと違いどれくらいの帯域のサーバーを使用しているか公表しています。ベーシックなサーバーは1Gbpsで、別料金のBoostオプション(プロ版は250GB / 月が含まれる)を購入すると50Gbpsと言った広い帯域を持つサーバーが利用可能です。よりスムーズで高速な通信が可能になります。
このBoostオプションには日本のサーバーも用意されていました。国内回線で速度が伸びないときの逃げ道として機能していた部分ですが、サービス停止によりこのオプションも消えています。

対応機種

Windows, Mac, iOS, Android, Linux, 各種Router, NAS等あらゆる機種に対応していました。
純正アプリはWindowsとMac、Androidに対応していました。
iOSはOpenVPNのコンフィグファイルをダウンロードするアプリを用意しているので、他の手動で設定するVPNプロバイダーより幾分ハードルは低くなっています。
ただし、プロトコルの設定、トランスポートプロトコルの種類等細かく設定出来るので、VPNにあまり詳しくない人は戸惑うかもしれません。

サポート

24時間 / 365日のサポート体制を掲げていましたが、窓口はチケット制のみでした。管理人もやり取りしていましたが、返信は早い方ではありませんでした。
基本的な設定方法はマニュアル化してあります。

利用料金と支払い方法

支払い方法は支払い専用サービス、Paymentwall, G2APay, bitpay, eDigiCashといったサービスに対応しています。ですので、キャッシュカードから、Paypal、Bitcoin等の仮想コインまであらゆる支払い方法に対応しています。

Proxy.sh2
4つのプランと、3つのアドオンから選択できます。プランの大きな違いは使用できるサーバー数です。
それぞれのプランは1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、SOLIDプランに限り3年契約(割引無し)も可能です。
以下は2017年当時の料金表です。当時べすとVPN向けに10%OFFのクーポンを発行してもらっていましたが、サービス終了により無効になったため、コードの文字列は本記事から削除しました。

プラン名 特徴 1ヶ月 6ヶ月 12ヶ月
QUICK サーバー2カ国限定 $2 / 72時間 − −
BASIC サーバー5カ国限定 $5 $25 $40
($3.33 / 月)
SOLID 57ヶ国全てを使用可能 $10 $50 $90
($7.50 / 月)
PRO SOLIDの機能+50Gbpsのサーバー(月間250GBまで)、Multi-hop $20 − $199.99
($16.67 / 月)

 

管理人からのふた言(2017年当時の評価)

おすすめポイント

  • 運営に関して他のVPNプロバイダーにはないレベルの透明性。かなりの情報を開示している
  • 完全なノーログを保証
  • 所在地がセーシェル共和国なので、5-Eyes等の影響を受けない
  • OpenVPNでの非常に強力な暗号化
  • アカウントを完全に匿名化出来る
  • 50Gbpsと言った広帯域を持つサーバーを利用出来る(日本のサーバー有り)
  • 中国等のインターネット規制地域でも接続出来る
  • $2 / 3日間 と言った格安プランを用意している

デメリット

  • ホームページ、アプリが日本語に対応していない
  • プランが少しややこしい
  • アプリから設定できる項目が多いのでExpressVPNやVyprVPNに比べると設定が少し複雑

プライバシー保護をここまで徹底した VPN プロバイダーは、2017年当時ほかに見当たりませんでした。ノーログの範囲、会社所在地、アプリのオープンソース化まで開示していた点は、今の基準で見ても踏み込んでいます。そのサービスが2019年12月頃から止まり始め、2020年半ばまでに完全に停止して以降復旧していないという事実も含めて、この記事は記録として残します。Proxy.sh が担っていた「ノーログ・強い暗号化・規制回避」という役割を今どのサービスがどこまで引き受けられているかは、別の記事で検証しています。

現在の中国で使えるVPNの検証記録を見る

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